The Japanese Saturday College of Melbourne

   メルボルン補習校

言語適齢期を乗り切る

教育には適期があります。とくに言語の習得は適齢期がはっきりしています。一般的に大人は第二言語の習得に時間を要します。発音も難しいですし、語彙もなかなか定着しません。しかし、幼稚園や小学校に通い始めた子どもはいつの間にか親が教えたことのないような言葉をきれいな発音で話すようになります。子どもの言語習得の速さに驚かされます。

ブレイ・ブローマン(Bley Vroman)という言語学者は、第二言語習得において、「根本的相違仮説」(Fundamental Difference Hypothesis,FDH)という仮説を提唱し、母語あるいは第二言語を習得する子どもの学習者と、第二言語を習得する成人の学習者とでは、その習得メカニズムが根本的に異なると主張しています。

異なる学習開始年齢の人々を対象に、長期的到達度の調査を行ったジョンソン女史(Johnson)は「第二言語習得環境で、母語話者と変わらないレベルの言語(文法)能力を身につけるためには、7歳くらいまでに言語習得を開始する必要がある」と言っています。学習開始年齢が高くなるほど、到達度に個人差が生ずる、というのです。(「英語習得の常識・非常識」2004年大修館書店)

イマージョン教育の専門家である中島和子氏は、バイリンガル育成の適齢期は幼児から小学校終了ころまでと言っています(「言葉と教育」海外子女教育振興財団)。具体的には2歳~6歳までは母語の形成に重点を置き、母語の話し言葉が固まり、読み書きの基礎ができてくる7歳ごろから第二言語の育成にも重点を置いていくのが適切であると説いています。

7歳と言えば小学校2年生です。この年齢までに母語の聞く力、話す力をしっかり習得させ、その上で第二言語を習得させることが効果的ということでしょう。二言語習得、とくに読み書きレベルの習得は長く、きびしいものですが、言語適齢期をじょうずに乗り切ることで、早い時期に達成が可能になります。もちろん保護者の不断の努力と補習校の適切な指導がポイントであることは言うまでもありません。

メルボルン補習校は子供たちの実態、ニーズに応え、幼稚園から中学校まで11年間の持続的な一貫教育を目指し、保護者と連携してお子さんの教育に全力で取り組む所存です。

最後になりますが、日豪政府並びに在メルボルン日本国総領事館、メルボルン日本人コミュニティの皆様にはメルボルン補習校の健全育成のため、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

藤家管幸

(略歴:日本で32年の教職経験を経て、2005年4月からメルボルン国際日本語学校校長を勤める。2009年12月同校退職。2011年4月メルボルン補習校校長に就任)